赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「ごめん千冬……わかんない……」
「ええっ、まだ10分しか経ってないのに。みはじって覚えてる? 小学校の時に習ったやつ。これをアルファベットにして……」
ノートの空白に英単語を書き始めた千冬。
親切に教えてくれているのに、今まで見たことがない単語でますます混乱する。
「頑張れ風花。ここでくじけたら期末が苦しくなるぞ」
「うっ、わかってるって……」
「物理難しいよなぁ。俺も苦手だから気持ちわかるよ」
落ち込んでいると、潤くんが優しく肩をポンポンしてくれた。
柔和な笑顔に癒された……と思ったけれど。
「あれ? 潤って理科苦手だったっけ? 得意じゃなかった?」
「生物だけな。古典よりかはマシだけど、物理も苦手なほう」
「あー、そういえば去年、国語のテストで漢文3問しか解けなかったって言ってたな」
「覚えてたんだ。千冬も苦手だけど、それでも80点取ってたっけ」
「現文の問題で稼いだからな。潤は?」
「俺は78点だったかな」