赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


2人の口から放たれたテストの点数に驚く。


高っ。苦手なジャンルで点落としてるのに、それでも8割近く取るなんて。

千冬はともかく、潤くんも頭いいんだなぁ。


私も、得意な教科と苦手な教科の点差が激しいだけで、成績は悪いわけではない。

レベルの差にショックを受けたけど、そもそも基準が違うんだから。比べるのがおかしい。


ただ……自分だけ知らない去年の話をしてるから、ちょっぴり寂しい。



「古典、私で良ければ教えようか……? これでも国語系は毎回9割取ってるから」

「いいの? ならお願いします」



話に入ると、えくぼガッツリの愛くるしい笑顔が返ってきた。

今度こそ癒された……と思ったのもつかの間。



「よし、風花が一肌脱ぐなら、俺も脱ぎますか」

「えっ」

「ほら、3時まで解きまくるよ」



千冬の指がトントンと物理のノートを差している。



「期末のためにも、赤点と夏休みの補習を避けるためにも、頑張って」

「はーい……」
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