赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
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「ありがとう。本当にありがとう」

「どういたしまして」



休憩時間に入り、千冬に深々と頭を下げた。

「わかんない」と連呼していた私を見捨てずに熱心に教えてくれた千冬。

そのおかげで、教科書に載っている試験範囲の問題を全部解くことができた。


優しすぎてなんだか天使に見えてきたよ。私もしっかり教えないと!

休憩中だけど、すぐ始められるように先に準備しておこう。



「いっ……」



散らばったプリントを片づけていると、左手の指にピリッと痛みが走った。



「あれ? 切ったの?」

「う、うん……」



小さな悲鳴に瞬時に反応した潤くん。


さすが吸血鬼……聴覚もだけど、多分嗅覚でわかったんだと思う。

もう手元にしか視線がいってないから。



「良かったら治そうか? そのままだとヒリヒリするでしょ」

「えっ……いいの?」

「うん。風花がいいなら」
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