赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
治す……つまり、傷口を舐めるってことだよね?
今まで何度も治してもらってたのに、久しぶりだからか、変に意識しちゃって心臓がうるさい。
というか私、部屋に入ってから変な想像ばっかりしてない?
このあたりで寝ているのかな? なんて、度が過ぎるよ!
「嫌なら絆創膏持ってくるよ」
「あっ、待って! ……お願いします」
考えたあげく、彼の前にそっと左手を差し出した。
潤くんは親切心で言っているだけ。
私のことは幼なじみ、血をくれる人間としか思っていない。
だって、私はこんなにドキドキしているのに、潤くんは顔色1つ変えずに落ち着いているから。
「ごめん千冬、ちょっと」
「はいはい」
千冬が呆れたように溜め息をつき、部屋を後にした。
なんでわざわざ……。生々しいのが苦手だから?
すぐ終わるんだから後ろ向いてるだけでも良かったのに。
「ありがとう。痛くないからリラックスしてて」
「そう……?」