赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
手が解放され、乱れた呼吸を繰り返す。
座っているのに頭がクラクラする。
声、外に聞こえちゃったよね。恥ずかしい……。
「大丈夫? なんか顔赤くない?」
「だっ、大丈夫! ちょっと暑いだけ!」
顔を覗き込まれ、逃げるように距離を取った。
全然大丈夫じゃないし、ちょっとどころかドキドキしすぎて体温が1度上がったような感覚だ。
もうっ、潤くんってば。それ無意識でやってるの⁉
心臓に悪いからやめてよ……!
腹を立てていると、部屋の外から笑い声が聞こえてきた。
「あれ? 千冬の声も聞こえる……」
「あぁ、多分おじいちゃんとおばあちゃんに捕まったんだな」
「俺らも行こうか」と立ち上がった潤くん。
火照った顔を手のひらでパタパタさせながら後を追った。
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「あら風花ちゃん、こっちこっち」
「ほらほら、潤も」
居間の扉を開けると、おばあさんとおじいさんに手招きされた。