赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「遅かったな。間食してたの?」
「うん。ちょっとだけ」
千冬の質問に潤くんはサラッと答えて腰を下ろした。
間食? 私はせんべいとクッキーを食べたけど、潤くんは何も食べてなかったはず。
……もしかして、吸血のこと⁉
まだお昼なのに早いなって思ったら。
勉強頑張ってたからお腹空いちゃったのかな。
「今ね、アルバム見てたの。風花ちゃんも写ってるよ」
「おぉ、これみんな写ってる」
床に腰を下ろし、おじいさんが指差した写真を眺める。
月食を観に行った時の公園の遊具を背景に、横一列に並んでいる、小さな女の子と3人の男の子。
幼稚園の頃の私達だ。
「こうやって見ると、みんな本当に大きくなったわね~」
「そうだなぁ、時の流れは早いなぁ」
左から、千冬、潤くん、私。
そして……。
「翼くん、元気にしてるかしら」
「ははは、あの子ヤンチャ坊主だったもんねぇ」