赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
右端に立っている、切れ長の目をした黄みがかった茶髪の男の子。
高校で別れて疎遠になった、もう1人の幼なじみの翼だ。
「今も翼くんと遊んでる?」
「連絡はしてますけど、高校生になってからはあまり会ってないですね。あいつ、今学校の寮で生活してるんで」
「おぉ~っ、寮生活か。それはそれは立派だこと」
おばあさんの質問に千冬が答えた。
成績優秀な千冬よりも、さらに優秀な翼。
ずっと成績トップだったため、周りから一目置かれており、進学校に首席で合格した。
成績だけでなく、健康診断の結果も良くて。何もかも平均だった私は、昔からよくからかわれていた。
幼稚園の頃からずっと一緒だったから、寮生活するって聞いた時はビックリしたな。
「あらまぁ、なかなか会えないのなら寂しいねぇ」
「あっ、あぁ……はい」
突然話を振られて返事がたどたどしくなった。
千冬は会ってたみたいだけど、私は卒業式以来、1回も会っていない。
……元気にしてるといいな。