赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
────
──



「ありがとう。助かった」

「いえいえ。さっき教えてもらったお礼ですから」



部屋に戻って勉強を再開し、夕方まで古文と漢文の読み方をみっちり教えた。



「本当にありがとう。風花は教えるのが上手いね」

「ええっ? そう? ありがとう」



潤くんに褒められて頬が緩む。

2人に教えるのは大変だったけど、喜んでもらえた嬉しさで疲れが吹っ飛んじゃった。



「物理の公式、忘れてない?」

「忘れてないよ! ちゃんと覚えてる!」

「そう? じゃあ明日はバッチリ解けるんだろうな?」

「当然! 千冬もバッチリ解けるんでしょう?」

「あぁもちろん」



得意気に言い切った千冬。

ドヤ顔しちゃって。絶対明日は全問解いてやるんだからっ。


言い合っていたら、潤くんがクスクス笑い出した。



「じゃあテストが終わったら、みんなで今日やった教科の成績見せ合う?」

「お、それいいな」

「いいよ~! 負けないからね~!」
< 59 / 316 >

この作品をシェア

pagetop