赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「あのさ、勉強教えてもらったお礼がしたいから、テストが終わったら遊びに行かない?」

「えっ⁉」



うっとりしていると、突然デートのお誘いをもらった。

待て待て、デートじゃない。遊びのお誘いだ。冷静になるんだ自分。



「いきなりごめん。予定が空いてる場合の話だから、無理しなくて……」

「空いてる! 空いてるよ!」



潤くんの声に被せるようにすぐさま返答した。



「良かった。風花の要望全部聞くから、欲しい物とか食べたい物があったら言ってね」

「わかった! ありがとう!」



欲しい物かぁ。

服や小物、あとは本とか。

食べ物なら、ケーキ屋さんのスイーツとか、新しくできたレストランのハンバーグが食べたいな。


他にも、遊園地とか水族館とか、色んなところに行ってみたい。

お金が足りなくなっちゃいそうだから全部は言わないけど。


それに、潤くんと一緒に過ごせるだけでも充分幸せだし。

一応食べたい物は考えておこうっと。


心を躍らせながら帰路に就いたのだった。
< 62 / 316 >

この作品をシェア

pagetop