赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「じゃ、早速いただきます」

「はい、どうぞ」



彼を中に入れて玄関に座らせ、いつものように手の甲を差し出した。


もう夕方だし……そろそろ帰ってくるよね。

一応潤くんが来ることは家族に伝えているけれど、この姿は見られたくない。


外を走る車の音が聞こえる度に、ビクッと肩と心臓が揺れる。


両親がいつ帰ってくるかという緊張感。
そして、静かな空間に私達だけというシチュエーション。

心臓がそわそわしている。



「ごちそうさまでした」



幸い、両親が帰ってくる前に吸血が終わった。

緊張から解放されたけど、胸の騒がしさは収まらず。

家に人がいた勉強会の時とは違って、今は完全に2人きりなんだもん。



「明日、楽しみだね」

「そ、そうだね!」



微笑む潤くんにドキッとしたのと同時に、柚季ちゃんの言葉を思い出した。


……聞いてみようかな。

さりげなく、サラッと、かしこまらずに。

柚季ちゃんや千冬に聞く時みたいに気軽に尋ねるんだ。
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