赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「じゅ、潤くん」

「ん? 何?」

「潤くんは……どんな服、着ていったら嬉しい?」




どんな服、までは言えたものの……急に怖じ気づいてしまい、その先がどうしても言えず。

直球で聞くつもりが、遠回しな言い方になってしまった。


ううっ、私の弱虫っ。チキンっ。

狙われてるんじゃないかって警戒されるのを避けようとしたのに、これじゃ逆効果じゃん!



「実は、何着ていこうか悩んでて。天気も不安定だし。潤くんなら私にどんな服着てほしい?」



天気と無理矢理結びつけて、平然を装って再度尋ねた。



「うーん……TPOに合っていれば特にないかな。俺の好みに合わせるよりも、風花が好きな服を着てニコニコしてるほうが嬉しいよ」



……のだけど、潤くんは優等生感満載の100点満点の答えを出した。


私の好みを尊重してくれるなんて優しいなぁ。

でも、私が求めていた答えじゃないんだよ……。
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