赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


【そう言われても、聞いたことがないからわかんない】

「そんなぁ……」



スマホから聞こてきた声にガクッと落ち込む。

好きな服を着て集合すると約束したものの、やっぱりどうしても気になっちゃって。お風呂を済ませた後、千冬に電話をかけた。



「潤くんと恋バナしないの? 好きな人とかタイプの人の話とかしない? っていうか、潤くんって彼女いるの?」



本人に聞けなかった質問をどんどんぶつけていく。


吸血のことで頭がいっぱいで、今まで考えもしなかった。

潤くんは見た目だけじゃなく心も綺麗。

前の学校でもモテてたと思うし、彼女がいてもおかしくない。

仮にいないとしても、告白やアプローチをたくさん受けてきたんじゃないかな。



【……あいつが恋バナするタイプに見える?】

「…………見えないですね」



質問を連投した私に、千冬は冷静なトーンで返してきた。

言われてみれば、潤くんの性格上、好きな人を想像してニヤついたり、照れたりするイメージないかも。
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