赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
†††



「……ちょっと早かったかな」



翌日の午前10時半過ぎ。

今、待ち合わせ場所である、学校近くの駅の前で待機している。

何かあって遅れたらいけないと思って早めに家を出たら、集合時間の30分前に着いちゃった。


バッグから鏡を出して、髪型と服装を今一度確認する。


悩みに悩んだ結果、上は淡い紫の薄手のニットを。

下は月食観賞の時にも穿いていった、紺色のレーススカートを選んだ。


歩きやすいよう足元はスニーカーだけど、黒色で大人っぽく。

髪の毛も、いつもより早起きして少し巻いてみた。


本音を言うと、「可愛いね」とか、「似合ってるね」って言ってほしい。

でもワガママは言えないから、せめて心の中で思ってくれたらいいな。



「お姉さん、今1人ですか?」

「はい?」



鏡とにらめっこしていると、若い男性2人組に声をかけられた。



「とっ、友達を待ってます……」

「あ、そうなんですか」
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