赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


笑顔でジリジリ迫ってくるお兄さん達に後退りする。


そんなぁ……。

服装からして、私よりお金持ってそうな雰囲気だったから、てっきり大学生かと思ったのに。まさか同年代だったなんて。

テンション高いし、いつの間にかタメ語に変わってるし。

どうしよう、このままだと壁に追いやられちゃう。



「すみません、俺の友達に何か用ですか?」



後退りしながらどう逃げ出そうか考えていたら、突然横から腕を引っ張られた。


安心感のある低い声と艶々の黒髪。

気づいたら、目の前に頼もしい背中が現れていた。



「あっいえ……友達を待ってたみたいだったので、ちょっと世間話を……な?」

「お、おぅ。でも来ちゃったみたいなので退散しますね!」



ひきつった笑みを浮かべるお兄さん達。

口調も一瞬にして敬語に戻り、「失礼しました!」とペコッと頭を下げて逃げるように去っていった。



「大丈夫? ケガしてない?」

「うん。ありがとう」
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