赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
くるっと振り向いて顔を覗き込んできた潤くん。
カーキ色のシャツと濃いめのデニムパンツ。
さっきのお兄さん達よりもシンプルな格好。
それでもなんだか眩しく見えるのは、相手か潤くんだから。
潤くんのことが好きだからだよね。
「なんでこんなに早く来たの?」
「このへんあまり詳しくないから、迷って遅れたらいけないと思って」
ここは学校近くの駅。だけど、潤くんが住んでいる家とは逆方向にあるから、あまり知らないのは当然。
とはいえ、いくらなんでも早すぎじゃない?
真面目な潤くんでも10分前。早くても20分前かなって思ってたのに。私と同じ時間に来るなんて。
おっちょこちょいと言われる私よりも何倍もしっかりしてるから、多少迷うことはあっても遅れはしないと思うけどな。
「でもまだ30分も前だよ?」
「それは風花も同じでしょ?」
発言をそのまま返され、言葉を詰まらせる。
心なしか、少し笑っているような……?