赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
このレストランは今年の春に新しくできたばかりで、ハンバーグが美味しいと話題になっている。
勉強会の後、早速リクエストしたら、すぐ予約を取ってくれたんだ。優しいよね。
窓際の席に座り、メニュー表を開く。
「俺これにしようかな。美味しそうだし」
「ん? どれどれ……えっ⁉」
潤くんが指を差した料理を見て思わず声を上げた。
驚いたのは、肉汁たっぷりのハンバーグではなく、下に書かれている名前。
なぜなら……。
「大丈夫なの? ニンニク苦手なんじゃない?」
吸血鬼が苦手とされている、ニンニクが練り込まれたガーリックハンバーグだったからだ。
「平気。苦手な人が多いけど、全員ってわけじゃないよ。むしろ俺は好きなほう」
「へぇ……知らなかった」
「一般的にはそう言われてるよね。前の学校の食堂でニンニクラーメン食べてたら、同じ吸血鬼の友達に『お前味覚と嗅覚ぶっ壊れてんな』って言われたよ」
「うわ〜っ、辛辣〜」