赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

「こんな感じのとか」と、近くに陳列されているベージュのシャツを手に取った潤くん。


質問を投げかけて判明したこと。

潤くんは、派手な服よりも無地の服が好き。


普段はモノトーンやアースカラーを着ているけれど、勉強会の時に着ていたパーカーのような明るい色も好きらしい。


そして。



「ねぇねぇ、白と黒、どっちが似合うと思う?」

「風花のイメージだと白かな。でも、そのデザインなら黒も似合いそう。どっちの色着るほうが多い?」

「白かなぁ。トップスは明るめの色が多いから。潤くんはこういう可愛らしい感じの服って着たことある?」

「えええ。レースはないけど……もこもこの服ならあるよ」

「もこもこ? どんな感じの?」

「パジャマ。紺色だから可愛さはないけど」

「へぇ〜。大人っぽい色が好きなんだね」

「まぁ、うん。年取っても使えるし」

「わかる。好きな服ならできれば長く着たいよね! 好みの人も大人っぽい人がタイプだったり?」

「んー、そうかもね」



服も好きな人も、“大人っぽい”がタイプだということ。


吸血鬼のことも改めて知れて、潤くんのこともたくさん知れて、新鮮な1日だったな。

よし、帰ったら早速研究しよう。


白と黒のブラウスを両手に持ったまま、好みを聞き出せた喜びを噛みしめたのだった。
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