赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
ええええ⁉ あの潤くんが⁉ 想像つかない……。
「う、嘘だぁ〜! いくらなんでもそれはないよ! だって潤くんの口から女の子の話聞いたことないもん」
「いやいや、イメージが壊れるから隠してるだけで、男友達の前では話してると思うよ? きっとここにいる男子達も、裏ではバンバン話してるよ」
柚季ちゃんが話し終えた途端、ワイワイしていた教室がしーんと静まり返った。
えっ……図星⁉ みんな話してるの⁉
視界の端に男子達の気まずい顔が見えて、なんだか申し訳ない気持ちになる。
みんな話しているのなら、千冬も……?
私がいないところで潤くんと2人で盛り上がってるとか?
……でも、千冬も潤くんと似たような性格だし。
あまり女の子の話をするタイプじゃないしな……。
「雨村さーん、お客さんだよー」
「あっ、はーい!」
あれこれ考えていると、クラスメイトの女の子から呼ばれた。
まだ興奮している柚季ちゃんを置いて前方のドアへ向かう。
お客さん……? 誰だろう。
学校だったら千冬か潤くんくらいだよね。それか先生かな?