赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「はーい」と返事をしながらドアを開けると……。
「こんにちは。初めまして」
「あ……こんにちは……」
立っていたのは、潤くんでも千冬でも、先生でもなく、見慣れない男子生徒だった。
「あ、あの、どちら様ですか……?」
「いきなりおしかけてきてすみません。僕、3年の沢村 宗星と言います。雨村さんにちょっと話があって来ました」
「話……?」
沢村先輩という彼は、赤みがかった茶色の髪の毛が特徴的で、レオさんよりかは細身。だけど、同じくらい肩幅が広く高身長。
顔つきは柔和で優しく、育ちが良さそうな印象だ。
悪い人ではなさそうだけど……見知らぬ先輩にいきなり呼ばれたからか、今、心臓がバックンバックン音を立てている。
私、何かやらかしたっけ……。
それより、なんで名前知ってるの……?
先輩には申し訳ないけど怖くて仕方がない。
「ここで立ち話もあれなので、場所変えましょうか」
「は、はい……」