赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
ビクビクしつつ先輩の後を着いていく。
さっきから女子生徒達が、チラチラ私達を見ているような。先輩のことを見ているのかな。
確かにかっこいい部類には入るけど、今の私にはただただ恐怖でしかない。
これから一体何されるんだろう。
心当たりがないから余計怖いよ……。
「さ、どうぞ」
「えっ……」
たどり着いたのは、渡り廊下や中庭ではなく──保健室だった。
なんで保健室……?
って、よく見たら、先生も休んでいる人もいなくない? これ、完全に2人きり……。
まさか、この中で……⁉
「怯えなくて大丈夫ですよ。僕、1組なので血は飲みません。ちょっと真面目な話がしたくてここを選んだだけですから」
「そうですか……?」
安心して少し体の力が抜けた。
この学校は全学年8クラスあって、前半が人間、後半が吸血鬼のクラスに分けられている。
まだ恐怖が消えたわけじゃないけれど、吸血されるわけじゃないと知ってホッとした。