赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「それで、用件はなんだったの? あの先輩とは初対面だよね?」
「うん……実は、健康診断の件で話があって呼んだみたいで。私が通院してる病院が、偶然にも沢村先輩の親がやってる病院でね……」
呼ばれた経緯と、初対面の私のことを知っていた理由、そして持ちかけられた提案。
最後に、今日の放課後に詳しい話を聞きに行くことを説明。
受けようかどうか迷っている私の背中を押してほしくて相談してみた。
「なるほど。確かに風花にとって、この提案はハードルが高いね」
「そうなの。『はい! お願いします!』って本当は言いたいんだけど……やっぱりどうしても怖じ気づいちゃって」
潤くんと交流していくうちに、男子との距離感が徐々にわかってきて、おかげで今、クラスメイトに自分から声をかけられるようにまで進歩した。
だけど、初対面の人となると話は別。
同い年ならまだしも先輩で、親が学校側と強い結びつきがあり、長く厚く信頼されている。
それでいて、未来のお医者さんの超エリート。