赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
放課後になり、いつもの校舎裏で潤くんに血を分け与える。
本当は1時間後に吸血させる予定だったんだけど、話が長引く可能性を考えて、ホームルームが終わった後、すぐ校舎裏に来てもらうよう頼んだ。
急な時間変更に瞬時に対応してくれた潤くんには感謝しかない。
「気にしないで。俺だって急に予定が入ることあるし。そういう時は図書室で時間潰すから遠慮なく言って」
「ありがとう……」
あぁ、なんて優しいんだろう。
潤くんまで天使に見えてきたよ……。
『──あぁいう硬派なタイプこそ、心の中ではスケベなこと考えてるんだよ』
「風花? どした?」
「あっ……いや、なんでもない! じゃ、じゃあまた明日ね!」
うっとりしていたら、突然柚季ちゃんの声が脳内に響いた。
せっかく忘れかけてたのに! どうしてこのタイミングでよみがえるの⁉
もうっ、柚季ちゃんめ! スケベなのはどっちよー!
噛み噛みの挨拶をした後、変な想像を巡らせないよう一目散に走り去った。