赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
──その後も質疑応答を行い、一通りの説明が終了した。
提案を受けるか決めることに。
先輩は、『今日初めて会って戸惑っていると思うので、今週いっぱいじっくり考えてくれたら』と言ってくれたけど……。
「ありがとうございます。是非、お願いしたいです」
終始丁寧な対応をしてくれた沢村先輩。
初対面の人間にここまで親切に寄り添ってくれる人はなかなかいない。
柚季ちゃんと相談してほぼ答えは決めていたけれど、表情も声のトーンも穏やかだったから、苦手なカウンセリングも克服できるかもと思って受けることにした。
正直、まだ少しだけ恐怖心は残っている。
だけど、これもきっと最初だけ。
慣れればクラスメイトみたいに、リラックスして話せるようになれるから大丈夫。
「本当によろしいんですか?」
「はい。忙しい中、あまり待たせると申し訳ないので。よろしくお願いします」
「そうですか……お気遣いありがとうございます。では、早速カウンセリングの日程を決めましょうか」