記憶の奥の怪異
「ん?」

「?どうした」

「いや、窓の外から....」

(笛みたいな音が....)

窓の外に耳を澄ますと.......

「この方角は....図書室....?」

図書室?と言った瞬間、後ろの男性が勢いよく時計を見る。

「げっ.......やべぇな....」

「?どうかしたんですか」

「やべぇけど.......えぇ?....でもこれって連れていったらそれもそれで土方とか桂とかに.......」

私の声は聞こえてないらしく、何やらブツブツ言ってる。

「あ、あの....?」

話しかけても反応がなかったけど、直後に自分の髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き混ぜ、立ち上がった。

「.......お前、息を殺して静かに出来るか?」

「え?」

(どういった趣旨の質問ですか?それ)

「え....ま、まあ静かにしろって言われたら出来ると思いますけど....」

「よし決まりだ!!」

「えっ!?ちょ、ちょっと....!」

私の腕を引っ張って、自分の膝の上に座らせる。

「今から黙ってろよ....」

男の人が三味線を持つ。

♩♬♪♪~♩♩♩♬♪♪

三味線の音が響いていくと、壁や床が変わっていく。

(わぁ.......)

古いお城みたいな壁や床になっていく。


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