記憶の奥の怪異
そう言った後、非難の声が響いた。

「えー、土方さん聞き出せなかったんですか?」

「うるせぇぞ総司」

「大体、あの生徒が口を割らなかったからだ」

(あの生徒って.......絶対私のことだよね?)

「ははは、まあまあ落ち着いて」

声色が優しい人が、二人を宥める。

「それじゃあ....学園の生徒っていう情報以外は聞き出せたんですか土方さん?」

つまんなそうに言うさっきの人。

「....名前と学年」

「まあ、名前が分かっただけでも十分じゃないか」

「それでトシ、その子の名前は?」

一瞬の沈黙の後、声が響く。
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