星空とミルクティー

 部屋に戻って着替えてしばらくすると、平野君がマダムと一緒に帰ってきたのか壁の向こうで甲高い声が響いている。

内容が入ってこなくてもわかる。これは怒声だ。


テレビボード代わりのカラーボックスの上に立ち膝になって、ゆっくりと壁に耳を寄せてみる。

なんでだの、これからどうするのだの、マダムのキャンキャンとした喚き声ばかりで平野君の声はなにも聞こえない。


 真横にあるテレビの音量を下げると、マダムの声がぴたりと止んだ。

ガチャン、とアパートの廊下でドアの閉まる音が響く。やばい。聞き耳を立てていたの気づかれたかもしれない。

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