星空とミルクティー
真雪を連れて地元の駅を降りる。
西口が父の店のある繁華街へ繋がっていて、東口はいつも行くスーパーへ繋がっている。
「俺、こっち側から出るの久しぶり」
「居酒屋とか飲食店しかないからなぁ。用がなきゃ行かないよな」
駅を出て、空っぽのロータリーを見てほっとする。
チェーン店の居酒屋が並ぶ路地の裏を歩いて、カフェや雑貨屋を通り過ぎる。
真雪は緊張した様子で、あたしの少し後ろにくっついていた。
10分ほど歩いて、大通りに出る1歩手前に3階建ての低層ビルが見えてきた。
コンクリートのくせに、1階部分にだけ中途半端にレンガを貼り付けてオシャレぶってる実家。
「ここ」
立ち止まって、見た目木製だけど鉄板が入っているのか、やたらと重いドアを押す。
ドアに取り付けられたカウベルが鳴って、暖かい空気とコーヒーの香りが顔を掠めた。