星空とミルクティー


 ドアを蹴飛ばしてやりたい気持ちを抑えて自分の部屋に入る。

昨日まで帰ってきたら明かりがついていて暖かかった部屋は静まり返っていて、当たり前だけど人の気配がなくて、冷え切っていた。

 部屋の電気をつけてバッグをベッド脇に投げ捨てる。


 もし真雪が、この布団とスポーツバッグを取りに来たらどうしよう。
今日から自分の部屋に戻るって言ったら……。


 離れる心の準備ができていない。

父に対して、余計なことをしないでほしいと思ってしまう。





 何度か隣の部屋のドアの開閉音がしたと思ったら、唐突に部屋の呼び鈴が鳴った。

驚いて飛び跳ねる。



「ただいまー」



 あたしの返事を待たずに自分の部屋のように真雪が入ってきた。
その顔を見てほっとする。



「あれ、着替えてない」

「……ダディは」

「バーがあるからって速攻帰ったよ。あ、ヒーターもついてない」

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