星空とミルクティー
真雪があたしの横を通り過ぎてテーブルの上に袋を置いた後、ヒーターをオンにする。
それからジャケットを脱いでいつものようにハンガーにかけた。
「汐も早く着替えなよ。ダディさんに唐揚げ作ってもらったから食べよう」
部屋に入ってからコートすら脱がないあたしを見て、真雪が怪訝な顔をする。
「汐?」
「……今日、いなくなるのかと思った」
「まさか。先立つものがないのに」
「ダディから何もらったの」
「ファンヒーターと、調理器具いろいろ。俺の部屋、何も無いって言ったら使ってないものあるからって」
「何か言われた?」
「何かって?」
たぶん、あたしが変な顔をしているからだろう。
ヘラヘラと笑う真雪が徐々に真剣な顔になった。
「……早くうちから出ていくようにとか」
「いや、全然。むしろ俺が早く出ていかなきゃって言った」
ぎゅっと胸が締め付けられるように痛み出す。
なんでそういうことを言ったの。
どうしてすぐにあたしから離れようとするの。
口をついて出そうになって、目を背ける。
適当な言葉が出てこない。
「汐?」
顔を上げたら、真雪の目を見たら八つ当たりをしそうだった。
「先に風呂入ってくる。ご飯、適当に食べてて」
真雪の肩を押して無理やり道を開ける。窓際のタンスから下着とパジャマを取り出して逃げるように浴室にこもった。