星空とミルクティー






 追い出すつもりじゃないけど、明るいうちに部屋を出ていくように言ったのはあたしだった。



「忘れ物ないな」

「……うん、たぶん」



 スポーツバッグを肩にかけて、布団を一式持った真雪が頷く。
ここに来るときは布団ですら1枚ずつ運んでいたのに、ちゃんと元気になっている姿を見て安心する。

 通勤用のバッグを持って、玄関を抜ける。
両手がふさがっている真雪の代わりに、真雪の部屋のドアを開けてやると中に入った真雪がくるりと振り返った。



「お世話になりました」

「うん。じゃあ、今後は十分体調に気をつけるように」

「はーい」



 「じゃあな」と手を振って、部屋のドアを閉める。

大きく息を吸い込んで、冷たい空気で肺を満たす。
昨日みたいに泣かないでいられたのは、これから仕事があるからだ。
真面目に社会人をやっていてよかった。

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