星空とミルクティー


 会社に着くと、クリスマスの次はバレンタインを狙う横内明日香が鼻息を荒くしながらデスクに近づいてきた。
それをかるくあしらって、でも夜は暇になったと告げると横内明日香が目を丸くした。



「珍しい。汐が合コンに参加したがるの初めて見るかも」

「合コンじゃなくて、サシ飲みだったらいいよ」

「あ、ほんとー? じゃあ聞いてよ、あたしの去年の合コンの戦歴を。そしてこれからの展望を」

「今日はやだよ。月曜だし。金曜がいい」

「わかった! じゃあ金曜ね!」



コーヒーの入ったカップを置いて、上機嫌に営業のフロアへ歩いていく。

あたしも、横内明日香くらい素直で可愛げがあったらよかった。

興味のない話にもあるフリをして笑っていられるくらいに。


……真雪は今、なにしてんのかな。


考えないようにすればするほど、頭がそれでいっぱいになる。

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