星空とミルクティー
何の仕事をしているのか、ちゃんとごはんは食べているのか、ゴミ捨ての曜日は覚えているのか間違えたりしてないか、急に色々世話を焼きたくなる気持ちが湧いてくる。
だけど無情にも足は錆びた鉄階段を上ってお互いの部屋の前まで来てしまった。
「おやすみなさい」
「あ、うん、おやすみ」
あたしという人間に少し慣れてくれたのか、柔らかく笑った平野君が部屋の鍵を開けてするりと中へ入っていく。
同じタイミングであたしも自分の部屋に入って後ろ手で鍵をかけた。
部屋に入ってテレビをつける。
この壁1枚隔てた向こうにいると思うと、急に意識してしまう。うるさくないかな。
テレビのリモコンを手に取る。弁当を取り出すコンビニの袋のガサガサした音にも気を遣う。
ーーそれにしても、ちゃんと感情、あるじゃん。
なんであの母親は、赤の他人のあたしにあんなことを言ったんだろう。