星空とミルクティー
真雪の持つぬいぐるみを見つめていたら頭上から声がした。



「……あ、」



玄関から離れる真雪を追いかけて、半開きのドアに体を押し付けて腕を掴む。

目を丸くしながらあたしを見下ろす。
引き止めたいけど唇が震えて声が出ない。
なんて言えばいいのかもわからない。




「汐、泣いてる?」



ふいに真雪の指があたしの頬を撫でた。



「……帰らないで」



やっとの思いで声が出た。

真雪と離れて、まだ丸1日も経っていない。
自分がこんなに弱いなんて思わなかった。




< 62 / 75 >

この作品をシェア

pagetop