星空とミルクティー
「帰ってきたら酒なんか飲んでないでまず先に着替えなさい。ほら、コートも脱いで!」
母親のように小言を言いながら空き缶を潰してゴミ箱に捨てた後、あたしのコートの袖を引っ張って無理やり脱がせる。
「……真雪は?」
「部屋のヒーターつけっぱなしだから消してくる。今日泊まっていってもいいんでしょ?」
鼻にティッシュを押し当てて、こくこくと頷く。
呆れたような困ったような笑い顔を浮かべて、真雪が部屋を出ていった。
昨日は泊まるなだの一緒にご飯食べないだの、さんざん突き放したことばかり言っていたくせに、この手のひら返しはなんなんだ。
我ながら呆れる。
ていうか、帰らないでってあからさま過ぎたよな!?
真雪のこと好きだって気づかれたらどうしよう……。
彼女いらないって言ってたし、振られる準備はできてない……!
一人の部屋で冷静になると、さっきの自分の発言がとんでもないと思い知る。
とりあえずまた叱られないように、真雪が来ないうちに着替えなきゃ。