素直にさせないで
「あ…」
そっと手のひらにひらひらとベビーピンクのような花びらが乗ると、
「!」
桜の並木道に風で吹いて、ふわっと髪が靡くとすぐにどこかへと舞ってしまったが…
そこへ春風に乗って桜の花吹雪が、フラワーシャワーのように私達に降り注ぐ。
「凄い…綺麗…!!」
私は夜桜が揺れる空を見上げると、花の隙間から差し込む月明かりがまた幻想的で微笑んだ。
「…」
空から降り注ぐ桜の花びらを見上げる私の横顔をしばらく不破は見つめていたことに気づかず、
「ね?」
私は感動からか思わず笑顔を向けてしまうと、
ーーぐいっ!
不破は急に私の頭を掴んで、
「ぎゃあっ!!」
その長い人差し指で私の唇を揺するように触れた。
「唇に桜の花がついてんだよ。」
「なんだびっくりしたなぁもう…」
急に接近してくるから何事かと心臓を脅かされ仰け反っていると、
取った花びらを不破は、むしゃっと食べた。
「げ!?なにしてんの」
「うげぇ、味しねぇ。」
「そりゃそうでしょ・・あんたそれ・・・」
「あんだよ桜の花って食えんだろ!?よくまんじゅうとかについてんじゃん」
「あれって塩漬けされた食用じゃないの・・?大丈夫?あんたお腹人一倍弱いのに・・・」
「ぬおっ・・・。」
まさかの自分の弱点にビビっていると、
「これで間接キスだろ?」
にやり…と顔を真っ赤にして物凄い嬉しそうな笑みを浮かべてこちらを見てくる・・・・