素直にさせないで

私を好きな憎らしい奴





ピーッ!!
愛知県ナンバーワンのミニバスチームの体育館には朝夕休みなく笛の音が鳴り響く。

「はい、5分休憩」
山崎先生が笛を吹くと、一斉にみんなベンチに戻り水分補給をしだす。
「はい、お疲れ様ぁ!」
6年の他のマネージャー達は寄り添って、水筒とタオルを嬉しそうに渡している。

「あ、湊。はいタオル。」

私は湊のタオルと水筒を差し出すと、
「ありがとうございます。」
汗を伝わせながら色っぽいその横顔に釘付けになる。

(カッコいいんだなぁ、イケメン♡)

バコッ!!
そうはさせるかと素早く横取りした湊のタオルで私の頭を叩くのは、、、もちろんこの男だ。

「てめぇ…この俺様よりも先に子分にタオルを渡す奴がいるかぁぁぁあっ!!!」

怒りで喚きながら私のことを睨んでいる。

「叩かないでよ!!私は湊のマネージャーでもあるんだから、湊にもタオルを渡してもいいじゃない!」
「生意気言うなぁぁあ!!奴隷の分際で俺に反抗すんじゃねぇえっ!!」
「言っとくけどね、あくまでも二人のマネージャーになっただけであんたの奴隷になったつもりはないからね!!」

そこんとこをはっきりさせようと突っぱねるも、

「お前はっ!!俺様の俺様による俺様のためのマネージャーなんだよ!!」

「はぁ・・・?!お前はリンカーンか・・」
唾を飛ばしながらまくし立てるバカの戯言に呆れ返る・・・。



< 30 / 106 >

この作品をシェア

pagetop