素直にさせないで




「新川さん。」
「ん?」
湊に呼ばれて、振り返ると

「僕のことは気にしないで下さい。不破さんのことを考えてください。」

タオルで拭きながらただ一言そう言い放つと、一人体育館の角に移動して座ってしまった。

(違うの。気にしたいのに!!)


「みっ湊くぅーん!私がマネージャー掛け持ってあげるよぉ!」
「私もぉおっ!」
その儚さも感じる彼に6年のマネージャー達が一斉に詰め寄ると、
「「おいおいっ・・・。」」
マネージャーを持ってかれた6年の選手は苦笑いを浮かべた・・・。


(なんか、何考えてるのか分からないなー。
イケメン湊は。)

私は湊の方を見ながら言い寄られる女の子達を目もくれず汗を拭いぼんやりと窓の外の雲を見つめながら一人汗を乾かす彼を見ていた。

多分、あの女の子にまるで興味のないとこ、掴み所がない感じがまたいいんだろうなぁ。たまらなく。
結構自分の心も持ってかれてることに私も少し気づいていると、

「おいっ・・・!!」
ぐりっ!!と強制的に私の頭を自分の方に向かせる不破に
「いったっ!何す…」
「湊ばっか見やがってっ!!!汗を拭けって言ってるだろーがっ!!汗をっ!!」
バッ!!と上半身裸になって汗だくの体を寄せてくる。

「きゃあああっやだ!!汚い!!!」
「照れんじゃねぇえ!!嬉しいだろうが!!俺のこの汗を拭けて!!ふははははっ」
「きしょい!!誰がよ!!嫌だぁあ離してぇえ!!」



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