素直にさせないで
湊ともっと話したい。
そう思って目で追ってしまうのは…
「恋じゃない?」
クラスに戻るなり、ニヤニヤと瑠菜は私に言った。
「恋…まではいかない。だけど気になる。」
「なるほど。」
「多分湊を好きな女子はみんなこんな風に好きになってくんだろうなー。」
「え?」
「あの独特の雰囲気。」
一体誰が好きなんだろ。
湊が告れば、女の子誰でもオッケーして貰えるのに。
「何浮かねぇー顔してんだよ。」
部活の時間になると不破が私の前に現れるなり、こちらを見ている。
「べっつに!」
バカに話すことなど何もないっと立ち上がると、
「もっといつもは…」
「え?」
「いつももっと可愛…」
何を言いかけたのか声が小さくなって聞こえなかったが、悪寒がし、
「はっ!?」
「ブスがぼんやりしてたら余計にブスなんだよ!!このぶすがぁ!!!」
「はぁぁあっ!?」
頭にきて無視して立ち去ろうとする腕をガシッ!と捕まれ、強引に引き寄せ顔を近づけられると、
「ブスなお前は、俺様を見てる時が一番マシな顔なんだよ!!よく見とけよ!!!い・い・な!?」
顔を真っ赤にして慌てて立ち去ろうとするバカを見て、
(何よ…アイツ。え、さっき可愛…かわいいって言おうとした?)
なわけないか。
ブスって言ってるし!ぐしゃっとアイツのタオルを丸めて放り投げてやった。