素直にさせないで





「38℃・・・。」

私はバカの家に上がり、ソファまで不破(ばか)に肩を貸して運び熱を計った。
気づくと真っ赤な顔で息が荒くなっている。

「ねぇ、不破。親に電話した方が」
ご両親とも働きで一人っ子の為、家には誰もいなかった。

「たかが熱くれぇで仕事してる親に電話なんかできっか!みっともねぇ!!」
「は・・?あんたの意地はるとこマジで謎だわ。」
奇妙な生態系に私はほとほと呆れながらも、とりあえず水を絞ったタオルで額の汗を拭く。

「ったく、毎日毎日汗拭かないでいるからこうなるんでしょーが!!」
「うっせぇっ!!お前が湊ばっか見て俺様の汗を拭かねぇからこうなるんだろーが!!」

「みっ…見てなっ…自分で拭きなさいよ自分の汗くらい!!」
「お前…図星か!!?ブスが真っ赤な顔しやがって!!」
急に起き上がって拭いていたタオルを床に叩きつけた。
「何してんのよ!!せっかく人が…」

言いかけた時に気づくと、近すぎるほど目の前にあったバカの真顔に驚いて一瞬息が止まった。





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