素直にさせないで
「なんだよ。」
いつも以上に鋭い目でこっちを見てきて、急に服を脱ぎ出した。
「ちょっ…何」
「汗まみれなんだよ!!」
怒鳴ると部屋着に着替えて再び寝始めた。
「うっ…」
熱で眠いのか重い瞬きで答えるバカは、いつもよりあどけない普通の少6の子供に見えた。
このデカイ図体ですっかり忘れてたけど・・・
「じゃゆっくり寝なよ。私は帰…」
立ち上がった時、ぴんっと体が引っ張られ振り返るとバカが私のスカートの裾を握っていた。
「何…」
「手、握ってろ。」
「は…?」
「じゃなかったら、このままスカート捲るからな。」
荒い息をしながら脅迫目いた表情で睨み付けられると、
「犯罪者・・っ怖!!!!離してよ!!」
振り払ったバカの手があまりにも熱くて驚いた。
「大体、お前が俺の汗を拭かねーからこんな目にあったんだ!!マネージャー失格なんだよてめぇは!!」
「もううるさいなっ分かった!!」
「んっ!!」
渋々と乱暴に私はバカの手を握ると、
「…」
いつも眉間にしわ寄せてつり上がっていた眉毛が下がって、満足そうに満ち足りた嬉しそうな顔を見せた。
うわ、なんだ…こいつ…こんな可愛い表情もできんのかと益々その奇妙な生態系に拍子抜けした。