素直にさせないで
「おはよ!らら。」
「あ、おはよ。瑠菜」
次の日二人で楽しく話しながらクラスの前まで行くと、何やら騒がしい声が廊下まで響き渡っている。
「えぇっ!!?不破さんと新川さんが!?」
「ああ。そういうことだ。」
「「おおっ…!!!」」
教壇の上であぐらをかいて子分達の前で偉そうにしているすっかり元気になった不破がそこにはいた。
「わっ、噂をすれば!!」
「不破さん!!彼女さんがお見えですね!!」
子分達が一斉に目を輝かせてみてくると悪寒が走る・・
「何・・・なんなの…」
「照れんじゃねぇっ!!いくらお前が夕べ俺のものになったからってよぉ!!」
「はっ・・・?!」
「さすが不破さん!!尊敬っす!!」
「親のいない留守に女を連れ込んで一夜を共にするとはっ!なんてカッコいいんだ!!」
ヒューッヒューッ!!!と子分達は口笛を吹いて一斉に冷やかし、
「えーっ!!不破君と、新川さんがぁ?!」
「まだ小6なのにぃー」
女の子達は顔を赤らめどよめいている。
「一夜を共にって・・あんた何言って・・」
「俺の腕の中で眠りについただろ?」
「はぁぁああっ!?」
きゃぁあっとクラス中が悲鳴をあげる中、怒りがこみ上げふるふると体を震わせていると、奴はしてやったりの最上級の笑みを浮かべてこっちを見て、
「これでお前は、身も心も正式に俺の女だな!」
このどや顔が世界で一番嫌い。
勘違いバカ男に私は二度と情けを持ってはならない。
そう誓った小6の秋。