素直にさせないで
「一日ぶりだなぁ。」
嬉しそうに顔を赤くしてこっちを見ては、にやりと笑った。
「昨日は日曜日なのに練習なくて彼氏でもあるこの俺様に会えなくて、会いたくて、会いたくて、震えただろう?!苦しかっただろ!?」
誰がだよ・・・・。
登校の邪魔にも関わらず道いっぱいに広がって真っ赤な顔で腕を組ながら仁王立ちになり、私を待ち伏せしてるのは、
不破だ。
「おいっら…」
私はその横を他人のふりをして避けて通るものの、
「うぉいっ!!待てこらぁぁあっ!!」
むんずっ!と後ろ首を捕まれ強引に押さえられ、
「ぬぁにすっ…」
「お前っ!!彼氏が挨拶してんのにシカトする奴がどこにいる!?」
「ちょっとやめてよ!!誰が彼氏よ!?」
「やっぱりあの二人付き合ってんのぉー!?」
「えーっびっくり…噂じゃなかったんだ…」
ヒソヒソと周りの生徒達のこちらに向かって声が聞こえてきたので、
「違うから!!私っ、こんな奴のことなんか」
じたばたと抵抗してると、
「不破さんおはようございますどうしました!?」
「不破さん」
「おお、お前らいいとこにこいつを捕まえ…」
続々増えてくしもべ達に私は猛ダッシュして、
「おいっ待てぇぇえっっ!!」
魔の手から急いで逃げてく。