素直にさせないで
冗談じゃない!!誰があんな奴の女になんか…
必死に逃げてくと、校庭では真っ直ぐにゴールを見つめて走る湊が額に汗を滲ませて綺麗なフォームで走っていた。
太陽の日差しに負けないくらい輝きと艶のある瞳に私は思わず吸い込まれそうでその場を動けずにいる。
そっか、駅伝近いから駆り出されてるって言ってたけ。足も早いんだなー。
ってか、足が長いか。
私の二歩分…いや、三歩分くらいかな。
自分の足と湊の足を遠目から比べていると、
「あれ、新川さん。おはようございます。」
「あ…湊…」
背の高い湊が少し視線を合わせて覗き込むように挨拶してくれるその気遣いも好き。
あれ…好き?
「新川ぁぁぁあああっ!!待てぇええっ!!」
どどどどどっ!!と後ろから物凄い数の不破の奴隷達が襲い駆けてくる。
現実・・。
「もうっ、なんなのアイツら!!」
私は嫌気をさしながら走り逃げようとした時、
「新川さん、こっち。」
「え」
湊が、私の腕を引っ張り校舎とは真逆の方へ走ってく。