素直にさせないで
トクン…と、触れられた手の血流がまるで喜んで弾んで脈打ってる気がした。
ぐんぐんと風を切って、その細い背中が目の前に広がるだけでときめける。
ずさっ…!!
「おわっ、ごめ…」
朝の喧騒からときめききっていると、ぼんやりしてしまいいつの間にか彼の背中に激突してしまい、思いっきり転ぶと
「ぷっ」と湊に吹き出され、
「もしかして新川さんって運動苦手?」
「・・そりゃ湊に比べたら・・・」
あなたに見とれていた。
なんて、言えるか。
「どこだぁ?!どこ行ったぁあ!?」
やばっ!!と再び現実に引き戻された私は思わず湊の腕を引っ張り水呑場の影に隠れると、
「!!」
湊の170cmの体を小さな塀におさめようとするなんて無理があったのか…、湊と自分が密着していることに気づいた。
「後で不破さんに怒られちゃうな…」
「へっ…は!?」
私は思わずひっくり返りそうになると、自分の体も顔も赤くなってることに気づいた。
「新川さん?」
「ごめん、見ないで。」
「え」
「私、湊のこと好きだから。」
わりと思ったことはすぐに口にしてしまうタイプで、これが告白であっても、後先考えずに真っ直ぐに伝えていた。