素直にさせないで
だが、湊は驚くでもなく、顔色一つも変えることなく、眉ひとつも動かすこともなく、
「明日には分からなさそうだなー。その告白。」
独り言かのようにふわふわとした答えを浮かべた。
「はっ?!」
思いもよらない返しに私は声をあげると、湊は空に浮かんでる雲みたいに掴めない笑顔で微笑み交わし、
「明日には誰を好きになってるって気づくかな。って。」
「誰って…ちょっと待ってまさかあのバカのこと好きになるって言いたいの!?」
「でも一番に浮かんだんでしょ?」
「!!?違っ…それは…」
したたかにこっちを見て笑う湊の笑みにズルさを感じた。
私はきっとさっき以上に真っ赤だ。
湊もそれをまるで見透かしてる…。
この子の自分の手の内見せずにフェイクいれてくとこ、やっぱりバスケやってる奴って感じ。
「ありがとう。今日のところは大切に受け取っとくね。」
ムッとし、何も言えなくなる私に、柔らかい笑みを浮かべて校庭に戻っていった。
「なによー!!湊のばぁーか!!」
「あははっ」
私の罵声にも面白そうに背中で笑ってる。
「アイツ、小5なの?ほんとに…」
年下には思えない。
もう掴めなすぎてもどかしい。
人生初めての告白だったのに!!!