素直にさせないで
「ぬぁにぃ!!?見失っただぁっ!!?」
昇降口では不破が大声を響かせて子分達を怒鳴っていた。
「はっ、はいすみません!!校庭まで追いかけたのですが…」
「駅伝練習中の湊とどこかに…」
「なにぃっ!?翔真だぁ…!?」
怒鳴る不破が何やら考えていると、全く相手にされていない様子を見かねて、子分の一人が提案した。
「ふっ…不破さん、女の子は押してダメなら引いてみろって言いますよね…」
「あぁっ!!?てめぇ俺がダメみたいな言い方しやがって」
子分の胸ぐらを掴みかかると、
「ちっちっ違いますよ!!ふっふ不破さんの言う通り新川が素直になれないっていうなら、冷たくしてみたり、他の女の子と仲良くして焼きもち妬かせたりすれば焦って振り向いて…あ、いや、素直に不破さんの彼女として並んで歩いてくれますよ!!!」
「なにぃ!!?おめぇそれは本当かっ!」
「本当でっ…す。ぐっくるし…」
胸ぐらを捕まれ吊し上げられている子分は泡を吹いて倒れ、
「おしっ!じゃその作戦でいこうじゃねぇかっ!!!」
ふっあっははははっ!!!と校舎には不破の不気味な笑い声が響くと、
「あっ…あの、不破君。」
恐る恐るやってきた同級生の可愛らしい女の子の呼び止める声に不破はきつい目で振り向いた。
「あんだよ。」
「あっ…あの…私…不破君のことが好きです」
「ぅえっ!!?」
こんなシチュエーションに不馴れな不破はまさかの告白に大声を出して仰け反る。
「「ひょぉおおおおおっ!!」」
「さすが不破さんっ!!」
愛の告白に子分達は顔を赤らめていると、
「ほっ…惚れても無駄だぜ!!おっおっ俺には彼女が…!!」
真っ赤になってろれつも回らない程、慌てふためいていると、
「不破さんっ!この子うちの学校で一番可愛いって言われてる笹原里佳ですよ!!」
もったいないっすと子分達は大興奮で不破に言い寄る・・・。