素直にさせないで




だが・・・・。


「あ、湊お疲れ!今朝はありが…」
「いえ。」
いつもとなんら変わりなく、あっさりとお辞儀をしチームメイト達の元へ走ってく。

(あれ・・・。私、さっき告白しなかったっけ・・。)

まるで何もなかったかのような対応は、特に目が合うわけでもなく、特にこちらを気にかかることもなくて、逆にこっちが動じてしまう。

“もしかしてららのことが好きってこと”
あんなことを瑠菜がいうもんだから期待しちゃったじゃん!もうー!
思わず顔を赤くしながら、湊を目で追ってしまってると

バンッ!!!!
私のすぐ真横の壁に数ミリずれていればあわや当たっていただろうボールが勢いよく叩きつけられた。
「わっ!なにびっくりし…」
思わずコートを見ると、そこにはこちらを物凄い形相で見てくる不破がいて、

「お前…、今日は帰れ!!!」

「はっ!?何怒って…」
ビュッ!!!!
再び私の真横をかすめて壁を叩きつけるようにボールが飛んできて、
「帰れってんのが聞こえねぇのかよ!!!」
体育館中に響き渡るほどの不破の怒り捲し立てる声にみんなビクッと動きが止まった。

「何よ…私だって来たくて来てる訳じゃない!!!二度と来ない!!!」

バンッ!!
体育館の扉を勢いよく閉めて立ち去っていた。


< 49 / 106 >

この作品をシェア

pagetop