素直にさせないで
(何よ…なんなのよ!!!意味分かんないアイツ!)
怒りに身を任せて体育館を出ると、すぐ側に人の気配を感じて振り向くと、
「あ…」
そこには不破の荷物を手にして里佳ちゃんが立っていた。
「不破の応援?」
「え…あ、うん。」
「じゃ里佳ちゃんがアイツの彼女にでもマネージャーになってあげて!!はい!」
私は手にしていた不破から渡されたマネージャーグッズを里佳ちゃんに押し付けるように渡し、体育館を飛び出していった。
ーードシンッ!!!
毛が逆立った動物のようにゴールへと猪突猛進する不破は、ディフェンスについたチームメイトを勢いよく吹っ飛ばすと、山崎先生は慌てて笛を吹いてプレーを止めた。
「こらこら不破!!今のは明らかに悪質…」
「うっせぇっ!!!てめぇいつまで床に座り込んでんだ!!立てよ!!!」
腰を強く打ち付けて痛がって立てないチームメイトの胸ぐらを勢いよく掴みあげ、宙に浮かせ
「くっくるし…」
もがき苦しませる。
「おいっ不破!!!」
山崎先生が怒鳴って生徒を下ろすと、
「今日はもう練習終わりだ!!不破、お前は残れ!」
「嫌だね」
「嫌じゃないだろ!!」
さすがに温厚な山崎先生が声を荒らげた時、
「ふ…不破君!!どうしたの何かあっ…」
体育館に入ってきた笹原里佳がマネージャーの荷物を持って凍りついていたその空気の中、
「うっせぇっ!!のこのこ気安く部外者が入ってくんじゃねぇ!!」
「酷い…」
ららに渡されたマネージャーの荷物を勢いよく不破はもぎとると、そのまま勢い余って倒れてしまう。
「誰の許可があってここに持ってきたんだよ!彼女面すんじゃねぇっ!!ぶっ飛ばすぞ!!」
女相手とはいえ、やりかねないその迫力にもう誰にも止められないほど怒り狂った不破に怒鳴られた里佳は泣き震えながら体育館を後にした。