素直にさせないで
恐怖のあまり部員達が静まり返ってしまったコートで湊は、転がっていたボールを拾い、山崎先生に捕らえられ大暴れしている不破の方に視線をやった。
「不破さん、僕とやりましょう。」
「あ?なんだと貴様…」
「1対1。」
「…」
その時、素直に面白いとバスケットプレイヤーとしての血が騒いだのは、長い付き合いの中で湊の方からそんなことを言い出すのは初めてだったからだ。
少し落ち着きを取り戻した不破の方を見て、くるくると指でボールを回しながら、
「不破さんが勝ったら、新川さんに謝りに行く。」
誘う湊のその条件に、「「ん・・?」」と周囲の人間は思うも、鈍感な不破は特に気づいていないようだ。
(普通、不破さんが負けたら謝りに行く。じゃないか?)と思うも、それは負けることなどプライド的には絶対許さない不破を思って述べたのだろう。と
(さすが湊・・・。)
山崎先生は子供ながらに湊に感心する。