素直にさせないで
「これ…」
不破は驚いて、その本を手に取ると、何ページ置きに付箋紙がつけられていて、びっしりとノートに大事なことが書き写されマーカーも引かれていた。
「俺の為に…?」
「違う!!」
「俺のこと好きだか」
「やめて!!見ないで!!触んないで!!!」
バスケを楽しいと思い始めていたことなんて知られたくなく真っ赤になった私は、不破から取り上げて目の前にあった公園のゴミ箱にこれ見よがしに一気に捨てた。
「おまっ…!!何やってんだよ!!」
「あんなのただの暇潰しだから!!!勉強して時間が余って息抜き…いや、退屈しのぎだから!!大体あんた専属のマネージャーなんか引き受けるわけないじゃん!!勘違いしないでよ!!」
「待てよ!!!この俺様のビブス縫ってくれたのも、退屈しのぎなのかよ!!?」
「…!!」
思わず足を止めるも、
「そうに決まってるじゃん!!ただの家庭科の勉強…」
「こんなに俺の為に…俺様を思って…」
「は・・・?!ちょっと待って・・何勘違いを…」
涙ぐみ勝手に感動し先走る不破に悪寒が走り、
「俺様を思って…」
目を輝かせるから呆れながら止めに入る
「いや、違うって。マジで!!聞けおい」
「合格だ!!」
「・・・。」
「喜べ!!お前はこの俺様の彼女合格だ!!」
がばっ!!と飛びかかる不破の熱い包容の手を剥ごうとするも、骨も砕けそうな程の力強さに、びくともしない。